kiriya holiday

     手前と後ろと、気配だけ頭において玄関をくぐる。起きてこないいちごは置き去りにして、休日の午前10時がはじまる。彼女の部屋の窓からも、新緑の深い緑の白い光が差すから、彼女の介護はそれに任せることにする。玄関から出ると強い光が上から射してきた。駐輪場まで小走りでかけた。駅まで約10分、無言で駆け抜ける、下り坂に海が見えるこの街は相変わらず美しいとおもった。真夏の光は白く、私の着ているTシャ…

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Day1

 木の間を抜けた先にいた彼女は、私と同じ時間を生きてくれるような気がした。  「湊、みおさん?」「はい」  「ペンギンカフェのデリバリーです、」  宅配の注文主のその人は少し傾斜になった場所に座り、私も彼女の横に座った。  「ご注文のトマトバジルチーズのサンドイッチです」  カゴに入った注文のサンドイッチを手渡す。  「これ、一緒に食べよっか?」  彼女がそう言って、さすがに私も困…

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角の恋

 壁の奥へ目をやって、私はまた左へ椅子を回して振り返った。  「虹野さん。いつもありがとうね。」  「また来ちゃいました。」     足をぶらぶらさせて、ちょっとカウンターの下方の壁をつついてみる。  帰りの電車のことを気にしながら、ローラからの着信を期待して携帯を開いてみる。特になにもない。  ここから駅まで歩いて10分、西口から2階へ上がれば帰りに書店に寄って帰れる。  「…

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