Day1

 木の間を抜けた先にいた彼女は、私と同じ時間を生きてくれるような気がした。  「湊、みおさん?」「はい」  「ペンギンカフェのデリバリーです、」  宅配の注文主のその人は少し傾斜になった場所に座り、私も彼女の横に座った。  「ご注文のトマトバジルチーズのサンドイッチです」  カゴに入った注文のサンドイッチを手渡す。  「これ、一緒に食べよっか?」  彼女がそう言って、さすがに私も困…

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角の恋

 壁の奥へ目をやって、私はまた左へ椅子を回して振り返った。  「虹野さん。いつもありがとうね。」  「また来ちゃいました。」     足をぶらぶらさせて、ちょっとカウンターの下方の壁をつついてみる。  帰りの電車のことを気にしながら、ローラからの着信を期待して携帯を開いてみる。特になにもない。  ここから駅まで歩いて10分、西口から2階へ上がれば帰りに書店に寄って帰れる。  「…

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水槽いちご 

 あおいと蘭がお土産屋さんを見てくると言ってここを去ってから、私は、ずっと巨大なガラスのパネルを眺めていた。水で埋まった空間は透明で、私の時間を止めにかかってくる。私と目を合わせると魚たちはすぐにどこかへ立ち去ってしまう。青は色を持っているくせに透明と近しいところがあって、どうにもせこいと私は思う。夕刻が近づくと私も明日のために考えに答えを出さないといけないから、じっと虚空でも見つめていれば、冷…

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